日本代表、サモア戦はダブルキャプテン。リーチの負担減で必勝態勢へ (2ページ目)

  • 齋藤龍太郎●取材・文・撮影
  • text & photo by Saito Ryutaro

 FW(フォワード)、BK(バックス)を問わずフィジカルバトルに勝つというテーマがチーム内で共有されていることがわかる。「フィジカルで真っ向勝負」が、この試合の見どころであり、勝敗を分けるポイントになることは間違いないだろう。

 メンバー発表の会見でそのような発言以上に注目を集めたのが、キャプテンのFL(フランカー)リーチ マイケルが開幕のロシア戦以来の先発復帰を果たしたこと、しかし、その名の横にキャプテンマークがついていなかったことだ。ゲームキャプテンはアイルランド戦に続いて、FLピーター・ラブスカフニが務めることとなった。

 ジョセフHCは、その意図を説明した。

「ラピース(ラブスカフニ)が(ゲーム)キャプテンですが、前回(アイルランド戦で)リーチをベンチにしたのは、プレー面をしっかりしないといけないためです。だから、彼にのしかかるプレッシャーを軽減しました。ラピースがゲームキャプテンをすることで彼(リーチ)は非常にフィールド内でいい働きをしてくれるようになり、チームをよく引っ張ってくれています。リーチがチームのキャプテンであることは間違いないのですが、彼の負担を軽減することによって、彼をラグビーに専念させます。それはこの大会において重要なことです」

 ジョセフHCに続いて取材に応じたリーチは、ゲームキャプテンのラブスカフニとの役割分担をより詳しく明らかにした。

「外側(ブラインドサイドFL)の僕よりも彼の方が(オープンサイドFLとして)ボールに近いし、レフリーとのコミュニケーションが取りやすい。ラック周辺の指示もすぐできます。そこで、ふたり合わせてチームを引っ張っていくことになりました。彼がゲームキャプテンで僕がチームキャプテン。今週の準備もふたりでスムーズにできました」

 つまり、ゲームキャプテンはラブスカフニだが、リーチのチームのキャプテンとしての立場や務めは変わらないということだ。レフリーとのコミュニケーションなどゲームキャプテンとしての仕事をラブスカフニに任せた分、「負担が少し軽くなりました」と語ったリーチの表情は、普段の試合前よりもやや朗らかに見えた。

 ふたりの「ダブルキャプテン」。ジョセフHCの秘策の成果は、サモア戦で明らかになる。

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