松島幸太朗のカウンター発動なるか。日本は優勝候補から大金星を狙う (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by Jiji Photo

 つまり、アイルランド代表はマレーからのパスでFWを前進させるラグビーを繰り返し、ペースを掴もうとしてくる。アイランド代表のFWはフィジカルが強く、なかなかボールを相手に渡さないからだ。それならば日本代表はボールキープすることで、相手がボールを持つチャンスの芽を摘もうと考えている。

 もちろん、スクラムとラインアウトといったセットプレーも焦点となる。接点やセットプレーで後手に回ると、勝つのはなかなか難しい。セットプレーが安定し、しっかりとした球出しができれば、サインプレーからトライを獲るチャンスも生まれる。いずれにせよ、FWの奮闘は欠かせない。

 試合前、このスクラムについて両チームが舌戦を繰り広げた。

 右PR(プロップ)木津悠輔(トヨタ自動車)がアイルランド代表のスクラムの特徴を聞かれ、「完全ではないが、ちょっと(左PRの)1番がステップアウトして、横から攻めてくる」と話した。つまり、やや反則気味に組んでくる、という発言をしたのだ。すると、それを聞いたシュミットHCは、「木津が言ったことには本当に驚きました。左PRのキアン・ヒーリーの心に、少なからず火がついたでしょう」と反論した。

 ジョセフHCも、アイルランド代表のスクラムを警戒する。

「ティア1(世界の強豪10チーム)は必ず、ジャパンのセットプレーを狙ってくるので、苦戦することが予想されます。だが、こちらのラインアウトやスクラムも成長しています」

 ベテランHO(フッカー)堀江翔太は静かに闘志を燃やし、4年前の再現を誓った。

「チームもいい状況です。ジェイミー(・ジョセフHC)に教えられてきたことをやれば、勝てる自信はある。(南アフリカ代表相手に大金星を挙げた)4年前と似ている」

 ジョセフHCは4年という年月をかけてリーダーシップを育成し、チームをまとめ上げてきた。そして、知略に優れたトニー・ブラウンコーチがゲームプランをしっかり練ってきた。スローガンのように「ONE TEAM」となり、準備してきたことをピッチで出せれば、相手が世界2位の強豪であっても勝機を見いだせるはず。それだけの蓄積が、今の日本代表にはある。

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