アイルランドが初戦に快勝。敵将は日本を研究、警戒している選手は?

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 守っては、素早いラインディフェンス、ゴール前の猛タックルでスコットランドにトライを許さなかった。終盤、ひとりがシンビン(10分間の一時的退場)をもらって数的不利になっても防御網は崩れなかった。タックル成功率は147本中139本成功で、驚異の95%である。

 何と言っても、スクラムが強い。上下、左右に揺さぶりながら押して行く。ラインアウトもほぼ完璧。日本の立場に立てば、残念ながら、スキが見当たらない。

 アイルランドは2年前、日本とのテストマッチで、主力抜きのチームで50−22、35−13と大勝した。日本の狙い目としては油断か。それでも、アイルランドは初戦でロシアに快勝した日本を警戒している。ニュージーランド出身の知将ジョー・シュミットHC(ヘッドコーチ)は「(日本は)とても危険なチームだ」と言った。

「(移動の)新幹線に乗る前には日本戦のプランを考えたい。我々の準備期間は(日本より)短い。本格的な練習は2日しかできない」

 シュミットHCは、日本戦のビデオを徹底研究しているそうだ。昨年11月のイングランド戦、今年のパシフィックネーションズ杯、南アフリカ戦、ロシア戦...。元教師らしく選手の名前がポンポン出てくる。

「日本はホント、はやいテンポで展開してくる。流(大=SH)から田村(優=SO)に幅広いパスをすることができる。ラファエレ(ティモシー=CTB/センター)も素晴らしい選手だ。特にロシア戦では、マイケル(リーチ主将=FL)は効果的な働きをしていた。フロントロー(FW第一列)もダイナミックな選手がそろっている。ジェイミー(ジョセフHC)がどんなメンバーを組んでくるかわからないけれど、試合を楽しみにしています」

 アイルランドにとって、日本戦は「中5日」で挑むことになる。日本より2日短い。そのため、セクストンらベテラン勢を休め、若手中心のメンバーで来るかもしれない。

 いずれにしろ、日本としては、FWがセットプレーとブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で奮闘しなければ、勝機はないだろう。加えて、キックの精度、キック処理がポイントか。結束勝負。「ワン・チーム」同士の激闘となる。

 深夜零時。試合終了から約5時間。JR新横浜駅前では酔った緑色ジャージのアイルランドファンの大合唱がまだ、流れていた。雨に濡れながら。

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