菊谷崇が日本代表の勝利に期待「子どもが憧れる存在になってほしい」 (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 小倉和徳●写真 photo Ogura Kazunori

――試合前のモチベーションビデオで選手たちは感動して泣いたと聞きます。どんな内容だったんですか。

「そのモチベーションビデオはチームでつくったものでしょ。僕がつくったのは、試合前日の選手をリラックスさせるビデオです。完全にお笑いです。例えば、神戸製鋼やNECの選手が、エディーのモノマネをしたり...」

――いずれにしろ、日本代表を離れた菊谷さんやトップリーグの選手たちが日本代表を応援するっていいですね。

「そりゃそうです。僕らは最初、みんなが憧れる日本代表になろうということで動きだしたのです。(RWC日本代表は)日本の代表として、イングランドに行っていたのです。トップリーグの代表として、戦ってくれていたのです。だから、僕ら日本にいる人たちで応援メッセージを集めて、リラックスしてもらおうと考えたのです。代表の選手たちが、憧れの存在になるという意義目標に対して、もう達成しているということを感じてもらおうと、俊朗が最初にアクションを起こして、僕らがそれをサポートした感じです」

――日本代表はまさに日本のラグビー選手の代表ですものね。ファンにも愛されるチームになってほしいものです。

「そうです。やっぱりラグビーもそうですけど、チーム作りも年々、進化しているイメージがあります。僕が日本代表に入ったのは、JK(ジョン・カーワンHC時代)の2005年かな。2007年のワールドカップには行けなかったけれど、2011年のJKのチームでワールドカップに行って、その後はエディーの時代に移りました。チームビルディングとしてどうやるのか、だれが関与しているのか。リーダーズグループがどうやったら機能するのか。年々、進歩していったのです。積み重ねが大事なんです。チーム強化って、数年で結果を出すのは難しいなって、最近、思うようになりました。僕はユース世代の高校日本代表、U-20(20歳以下)を指導しているので、その子たちが日本代表に憧れる、また日本代表になりたいと言ってくれるのが幸せですね」

 菊谷さんのコーチング哲学は「FUN(楽しい)」である。ラグビー愛にあふれる指導を日々、全力でほどこす。それはなぜか。愚問だった。

「純粋にラグビーが好きだから」

 横浜市の日体大・健志台キャンパスでの女子ラグビー部の臨時指導のあと、グランド脇のベンチでの青空インタビューだった。写真撮影を終えると、キクさんは時計に目をやった。昼食を食べる余裕もなく、小学生ラガーの指導のため、調布市へ急ぐのだ。

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