ラグビー日本代表が勝利へ。
ロシア戦ではハーフ陣の活躍がカギを握る

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 また、ロシア代表は強力なFWを武器とするが、自陣奥に深く入らせなければ、FWによる近場のアタックやドライビングモールといった得意の得点パターンは封じることができるだろう。そのためは、不用意な反則を犯さず、ペナルティの数はひとケタにしたい。

 そして、流や田村のキックをうまく使って、常に敵陣で戦うように試合を進めたいところだ。そうすれば、PG(ペナルティゴール)を入れられる危険性も減る。このロシア戦では、ハーフ団のゲームコントロールの出来がチームの流れ・勝敗に直結するだろう。

 リザーブには、頼りになるベテラン勢も控えている。70キャップの田中、67キャップのLOトンプソン ルーク、44キャップのFL/No.8ツイ ヘンドリック。彼らはワールドカップを経験しているだけに、ゲームを落ち着かせる手段にも長けている。

 当然、ロシア代表も昨年11月で対戦した時のように、SOクシナリョフと控えのラミル・ガイシンのキックを生かしてくるはずだ。ただ、日本代表も相手のキックは警戒しており、松島は「キック処理が大事になってくる。そこからのカウンターや、アンストラクチャー(陣形が整っていない状態)からのアタックでいい形にもっていきたい」と意気込んでいる。

 ロシア代表は1カ月前、世界ランキング14位のイタリア代表に13トライを喫して15-85で大敗した。その後も、親善試合ながらイングランド2部のジャージー・レッズに22-35、アイルランドのコナートに14-42で敗戦。ロシア代表のリン・ジョーンズHCは「親善試合はあくまで親善試合」と語るが、組織ディフェンスが成熟しているとは言いがたい。

 カギとなるのは、スクラムだ。南アフリカ代表戦でマイボール成功率100%だったスクラムの強さを生かし、ラインアウトでもマイボールをしっかりキープすること。そして、パスを交えてボールを展開できれば、相手のディフェンスラインをブレイクしてトライまで持っていくことができるだろう。

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