「3年居住」をクリアで代表へ。新外国人ふたりが運動量で日本を救う (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 しかし、一度でも日本代表としてプレーすれば、基本的には他の国の代表としてプレーできない(一度だけ変更可能だが、細かい基準を満たすのは難しい)。また、近年では(1)の「3年居住は短いのでは?」という議論も交わされ、2020年12月末から(1)の条件は「5年居住」となる。

 今年6月、その「3年居住」をクリアして日本代表入りが認められたのが、「ラピース」の愛称で呼ばれる南アフリカ出身のFLピーター・ラブスカフニ(クボタ)と、オーストラリア出身のLOジェームス・ムーア(宗像サニックス)だ。

 統括団体「ワールドラグビー」から認められた時、ふたりは興奮と安堵の混じった気持ちを素直に表現した。

「なんて言葉にしていいのか難しいが、とにかく興奮しています。これから最後のチャレンジに臨むことができます。ワールドカップのピッチに立てたら、本当にすばらしい」(ラピース)

「少しストレスになっていましたが、これでさらに練習に集中できる。ホッとしています」(ムーア)

 スーパーラグビーで結果を残してきたラピースは、2013年11月に行なわれた南アフリカ代表の欧州遠征メンバーに選出されたものの、試合出場は叶わなかった。しかし2年前、ジェイミー・ジョセフHCから「日本代表になれる可能性がある」と聞かされ、2019年ワールドカップを意識するようになったと言う。

 2018年、サンウルブズに参加すると、敬虔なクリスチャンで真面目な性格のラピースがジョセフHCの信頼を得るのに、さほど時間を要さなかった。同年2月、ジョセフHCが自衛隊合宿を敢行した際に名指しで称賛したのが、ラピースだ。「軍隊的なプレッシャーのなかで、個性やメンタルが見えてきました。リーダーシップ気質を持っていないと思っていた選手が、それを発揮しました」(ジョセフHC)。

 豊富な運動量とタックルやジャッカルを武器に、ラピースはサンウルブズで存在感を発揮。日本代表候補合宿では、リーダーのひとりに選出される。さらに、日本代表初キャップとなった7月27日のフィジー代表戦では、控えのリーチに代わっていきなりゲームキャプテンを務めた。

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