箕内拓郎が日本の熟成度に太鼓判。
唯一不安はケガ時の組み合わせだ

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 長尾亜紀●写真 photo by Nagao aki

――たしか2チーム制には賛否がありました。

「もちろん、そのことについて否定的な意見があったのも知っています。でも、前回のワールドカップで中3日のスケジュールを経験していたし、しかも優勝候補のオーストラリア戦での疲労を考えると、2チーム制にして良かったと思います。2勝という明確な目標と最初の2試合に向けて全選手が早い段階からそれぞれ準備することに集中できた。ワールドカップに向けてチームが同じ方向を向くことができていました」

――最後のカナダ戦(△12-12)、最後の最後、トライをとって、大西将太郎選手の同点ゴールで追いつきました。劇的でした。

「いや、僕は正直、終わった後、喜べなかったですね。連敗を止めたというので、ホッとしたのはありましたが、僕は勝てなかった悔しさが大きくて。当時の映像を見ても、全然、喜んでなくて。結構、他の選手は喜んでいたのですが、試合後、パッと見たら、僕以上に悔しそうな顔のやつがいました。ザワ(小野澤)でした」

――カナダ戦で特に覚えているプレーはありますか。私は、箕内さんが相手のトライをインゴールでからだごと防いだシーンなんですが。

「トライセーブですね、あれはもう必死でした。僕は、後半の相手のトライです。ペナルティーをとられて、全員がフッとスイッチがオフになった瞬間、キックパスでワイドにトライをされてしまった。そのシーン、すごく覚えています」

――2007年大会を一言で言うと。

「JKが来ての9カ月でした。その間、オールブラックスのスキルコーチが来たりして、コーチングスタッフも世界を意識した発言が増えてきました。どこで世界のトップを目指すのか。フィットネスかどこなのか。やっと世界レベルの代表強化にキャッチアップすることができたのかなって。(世界の強豪の)しっぽがちょっと見えた感じでした」

――その後、選手もスタッフもレベルが上がっていきます。さて、ことしの日本代表はどうでしょうか。

「リーチ主将も言っている通り、強化の進んでいる方向は間違いありません。ただ、あまり試合に出ていない(控え組の)選手はどうなんでしょうか。主力のケガとかで、(選手の)組み合せが変わった時にちょっと不安なのかなって。課題は、そこぐらいでしょうか」

――注目ポイントは。

「開幕戦を迎える際の精神状態は、気になるところですね。ホームでのワールドカップです。今まで以上に注目を集める中で、いつも通りのプレーをできるか、精神状態を保てるのかがポイントになるでしょう」

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