南ア戦で松島幸太朗が意地のトライ。ディフェンスは課題が露わになる (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 ジャンプ力のある松島は何度かナイスキャッチをしながらも、孤立させられる場面が目立った。「うまく裏で孤立したところをやられました」と漏らした。

「僕がキャッチして、周りに一人もいない状況があったので、そこを改善するのがジャパンの課題でしょ。(攻めても)システム通りの追いかける人数じゃなかった。大事なのは、正しい人数のワンラインでいくということじゃないですか」

 本来なら壮行試合は格下相手に自信をつけさすところだが、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は今回、あえて強い南アに挑んだ。だから、課題が明確になった。汗でボールが手につかないこともあっただろう、互いにミスを続発させたが、ミス後の切り返し、カバーのスピードで後れをとった。

「ミスした後、(南アには)しっかり前に出続けられていた印象があります。ミスの前(のプレッシャー)もありましたが、ミス後のプレッシャーも高かった。そこでやられました」

 日本とティア1(世界のトップ10)との差はフィジカルやスキルもあろうが、この切り返しのはやさ、危機管理能力、ミスの対応のはやさにもある。判断のはやさである。

 キックチェイスの人数やポジショニング、あるいは周りとのコミュニケーションなど、ディテール(細部)の課題はわかった。

「アタックは全然、よかったけど、ミスが出たところでしっかりディフェンスにマインドをチェンジしないといけない。そこをもっと改善すれば、失点は防げると思う。(攻撃では)もっと(ボールを)もらえるようコミュニケーションをとって、内側に正確な情報をつたえていきたい」

「マツ」こと松島は着実に成長してきた。テストマッチ(国別対抗戦)の出場回数を示すキャップが「34」。4年前のRWCイングランド大会では、22歳ながらも4試合すべてに先発出場した。番狂わせを演じた南ア戦にはフル出場し、五郎丸歩のトライを絶妙なパスでアシストするなど勝利に貢献した。

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