リーチ主将が不安を乗り越え大きな自信。「トライはいくつもとれる」 (3ページ目)

  • 松瀬 学●文・写真 text&photo Matsuse Manabu

 実はチーム作りでいえば、初期の段階で、リーチ主将はジョセフHCと言い争いになったこともあったそうだ。争点は、ピッチ外の生活における規律の部分だった。

「正直、ふたりでごちゃごちゃ、ありました。スタンダードの違いです。慣れるまで時間がかかりました。エディーの時はホテル内でも服装など、すごく厳しかった。JJ(ジョセフHC)になって、選手はホテルではリラックスなんです。僕は、エディーの時と同じくらい厳しくやりたかったけど、JJはそうじゃなく、"選手がリラックスして練習できる環境をつくりたい"って」

 つまり、オンとオフの切り替えだろう。リーチ主将は「もちろん、今はいい関係です。何でも相談できる。いいコンビだと思います」と小さく笑った。

 指導法は違えど、この"ジェイミー・ジャパン"は、エディー時代の4年間にプラス3年のトータル7年間の強化の積み重ねの結晶のようなものである。だからだろう、「今のチームの方が強い」と言い切る。

「負けるとしたら、自分たちのせいで負ける。相手の強さで負けることは想像できない。自分たちのやりたいことができなくて負ける。変わらないといけないのは、潜在意識。(自分たちは強いという)意識を強くして、チャレンジ、チャレンジして、常にチャレンジしていかないといけない。

 モットーが『神に誓うな、己に誓え』。性格は誠実、朴とつ、実直。網走合宿のミックスゾーンでは、右手でピシッ、ピシッと手足の蚊をはたきながらも取材に応じてくれた。刈り上げた頭、漆黒の頬ひげ。つぶれたギョウザ耳はタフガイの証でもある。

 かつて、テストマッチのキックオフ前、「君が代」を歌いながら、何を考えているか、聞いたことがある。リーチ主将は背筋を伸ばし、たしか、こう言った。

「日本に来て、世話になった人のことを考えています。日本に恩返ししたい。僕は、日本のために勝ちたいのです」

 RWCは、9月20日の日本代表×ロシア代表で開幕する。闘将が、恩返しとなるベスト8以上にチームをけん引する。阿修羅のごとく。

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