ラグビー日本代表、格上フィジーを圧倒。「地獄の宮崎合宿」の成果あり (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 フィジー代表と言えば、7人制代表がリオ五輪で金メダルを獲得したように、どこからでもつないで変幻自在にトライを獲ってくるラグビーが強みだ。アンストラクチャー(陣形が整っていない状態)からの攻撃は世界一と称され、「フィジアンマジック」と呼ばれている。当初、リーチは「(日本もキックを蹴る)アンストラクチャーラグビーでチャレンジする」と言っていた。

 しかし、フタを開ければ違った。ジェイミー・ジャパンは代名詞とも言えるキックを封印し、パスとランでボールを継続するラグビーで挑んだのだ。それが、見事にハマった。前半8分のWTB(ウイング)福岡堅樹のトライも、ボールを継続するなかで相手が反則を犯し、その後のモールが起点となった。

 前半12分には、フィジー代表に得意のカウンターからトライを献上してしまう。だが、選手たちはすぐさま話し合い、当初に立てた戦略を修正することにした。バックスのディフェンスを統率するCTB(センター)中村亮土はこう振り返る。

「試合前は、自陣から蹴っていこうと話していた。だが、やっぱり(フィジーの)驚異のアタックを受けて、自陣でもボールキープしていこうと。その結果、試合中のコミュニケーションもよくなった」

 すると、8−7で迎えた前半19分から、すばらしいトライが立て続けに2本生まれる。まずは、SH(スクラムハーフ)茂野海人からWTB松島幸太朗にパスが渡り、そのまま中央にトライ。ゴールも決めてスコアを15−7とした。

 そして2分後、この試合一番のトライシーンが生まれる。

 ラインアウトを起点に、ボールを右から左に、そして左から右へと展開。するとその時、右サイドにはラインアウトを投げたHO(フッカー)堀江翔太、No.8(ナンバーエイト)アマナキ・レレィ・マフィ、そして松島が張っている形となった。

 そのシチュエーションを、田村は見逃さなかった。すかさずマフィにロングパスを通し、その後、マフィ→堀江→松島とオフロードパス(タックルされながらも味方につなぐパス)がつながる。そして最後は、CTBティモシー ラファエレがトライを決めた。

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