ラグビー日本代表の落選サプライズ。
大舞台に強い山田章仁がなぜ?

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 今季チーフス(ニュージーランド)で9試合に出場し、計3トライを挙げているモエアキオラは、WTB登録ながらSO(スタンドオフ)やCTBでもプレーができ、東海大時代にはNo.8(ナンバーエイト)としても試合に出場している。このような万能BKが控えにいれば、ジョセフHCも安心できるだろう。

 また、同じくWTBで選出されたヘンリーも、FBでのプレーが可能だ。FB登録の山中亮平(神戸製鋼)はSO出身でインサイドCTBの経験があり、FB野口竜司(パナソニック)もWTBとしてテストマッチに出場している。山田はWTBでしかプレーできないことが、最後はあだとなった。

 ワールドカップイヤーの今年、山田は9シーズンプレーしたパナソニックからNTTコミュニケーションズに移籍した。「NTTコミュニケーションズの看板を背負って、世界中にインパクトを、ひとつでもうれしいニュースを届けられるようにがんばりたい」。そう意気込んでいたが、本人もまさか6月の段階で落とされるとは思ってもいなかっただろう。

「まだ(ワールドカップに向けた)ドアが閉まったわけではない。(8月の網走合宿の前に)再度40人のスコッドを選ぶ。山田や立川はサンウルブズで試合があるので、しっかり力量をアピールすれば、チーム入りの機会は設けられている」

 会見の席で、ジョセフHCは落選した選手への配慮を見せた。

 ただ、今回選ばれた42名のうち、12名はPR(プロップ)やHO(フッカー)といったFW第一列の選手で、BKは16名とかなり絞り込まれた。ワールドカップの最終スコッドは31名で、BKは13名ほどと予想されている。ケガ人が出ないかぎり、今回の42名からワールドカップメンバーが選ばれるだろう。

 山田はこの逆境を覆し、再び桜のジャージーに返り咲くことができるだろうか――。

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