「SH第3の男」を襲った不遇。W杯出場へ曲折を経た思いをぶつける (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

「しんどかった。だが、成長できた。貴重な経験でした」。茂野は当時の心境をこう語っている。

 2018年に入ると、トヨタ自動車での活躍が認められて、日本代表候補を育成するNDS(ナショナルディベロップメント)合宿に呼ばれた。その後、サンウルブズにも追加招集され、同年11月にはロシア代表戦で2016年6月以来となる日本代表キャップを得ることに成功する。

 そして2019年、茂野は「フミさん(田中)やユタカ(流大)とは経験の差がある。ゲームタイムがほしい」と希望し、サンウルブズの中心選手として自らを高めてきた。「スーパーラグビーでコンタクト慣れしてきたので、ディフェンス面ではそういったところを見てほしい。ボールを持って走るなど、他の(ライバル)SHと違うプレーをしていきたい」。

 ワールドカップに向けて、6月から宮崎で合宿を張る日本代表メンバーに残れるかどうかは、まだわからない。だが、スーパーラグビーで安定したパフォーマンスを出していた選手を招集しないことはないはずだ。紆余曲折、そして喜怒哀楽のあった4年間だったが、茂野はその想いのすべてをワールドカップにぶつけようとしている。

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