林敏之が考えるW杯躍進のヒント「日本人はマラソンなら金をとれる」 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

――そんなジレンマを払しょくしてくれたのが、前回のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ=現イングランド代表HC)の率いた日本代表でしょうか。

「ひとつ、(形が)見えたよね。全然、ラグビーの質が違うものになった。プロ化してから、随分、コーチも何もかもプロフェッショナルになって、百数十日ぐらい合宿もするようになった。僕らの頃は、ワールドカップもまだ牧歌的なものがあったんだ。それが今では、プロフェッショナルな世界3大スポーツのひとつに数えられるようになったんだから」

――今年のワールドカップをどう見ますか。

「初めて欧州や南半球の伝統国以外で行なわれる、アジアで行なう大会だよね。アジアがやるんだっていうか、アジアの代表として日本代表がやるんだと思った方がいいのかな。今まで欧州、南半球としてのスポーツだったラグビーがこのままで終わるのか、アジア、世界に広がるのか、その分岐点と思うんだよね」

――世界のラグビー界のエポック的な出来事ですよね。今後、どうなってほしいですか。

「そりゃ、もっと、もっと、ラグビーが広がっていってほしいよね。今、どのくらいかな、(ワールドラグビーの加盟国・地域は)120くらいかな。(7人制ラグビーが)オリンピック種目になったし、それを200くらいにしていくチャンスだと思う。ただ、運営とかの活動費はワールドカップから得られるという中で、120をどう増やしていくのか。アジアにどう根づかせていくことができるのか。まずは何より、ジャパン(日本代表)の活躍に期待するけどね」

――ジャパンに期待されることは。

「決勝トーナメントにいってほしいよね。ジャパンは強くなっているよ。2015年大会を目指してスタートした時点と比べると、今回のチームの方が随分、チーム力は高いと思うけどね。どこの国も日本をなめることはないんだろうけど、これまでは日本に恐怖感を感じずにスッと試合をしていたと思うけど、今後、相手はもっと身構えて試合に臨んでくるだろうね。勝ちづらくなる。当然、試合は厳しくなるんじゃないの」

――日本の躍進のポイントは。

「やっぱり、最後に走り勝つような試合にしないと勝てないのかな。フィットネス(体力)で勝つぐらいじゃないとなかなか勝てないと思うね。それがちょっと見えたのが、2015年だから。無差別級のパワーで日本人が優勝できるかといったら、できないでしょ。100mで金メダルをとれるかと言えば、まだとれない。でも、マラソンでは金メダルをとれる。日本はそこに賭けていかなければいけなかった」

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