五郎丸は日本での放送時間を気にしていた「サモア戦がラストチャンス」 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 築田純●撮影 photo by Tsukida Jun

――南アフリカ戦勝利の後の3試合。一番印象に残る試合はどれでしょうか。

「サモアとの試合は、僕らのラストチャンスだと思っていたんです。南アフリカに勝って、スコットランドに大敗して、やっぱり南ア戦は奇跡だったんだと思われそうになりました。日本国内のテレビ放送時間を考えたとき、サモア戦(日本時間10月3日午後10時半キックオフ)が多くの一般の方が観るラストチャンスだったんです。4戦目の米国戦(同10月12日午前4時キックオフ)は未明でしょ。サモア戦で結果を出さないと、自分たちが出したメッセージはただの奇跡で終わってしまうって思っていたんです。だから、かなり、チームとしても準備しました」

――日本でテレビを観る人のことを考えていたんですか。

「はい。僕は気にしていました」

――日本代表、26-5の完勝でしたね。

「ええ完勝でした」

――発信したいメッセージって何だったのでしょうか。

「ラグビーファンの方はわかってくれるでしょうけど、19年日本大会を盛り上げるためには、まったくラグビーを観たことのない人たちを感動させないと、僕らの目標は達成できないなと思っていました。放送時間を見ると、サモア戦がラストチャンスだったんです」

――深夜帯ながら、平均視聴率が19.3%、瞬間最高視聴率は25.2%の高視聴率を記録しました。勝つことでラグビーのすばらしさを多くの視聴者に伝えることができました。そして、最終戦の米国戦ですが。

「自分たちができることはやって、最終戦を迎えたわけです。自分たちが目標としていたクオーターファイナルにはもう、行けない。でも、自分たちが4年間、何のためにこのチームで戦ってきたかというのをもう一度、チーム内で共有しようとなりました。じゃないと、チームとして何か柱をひとつ、外されたようになってしまって...。チームとしてなぜ、4年間、頑張ってきたのかということを共有してアメリカ戦に臨んだのです」

――アメリカ戦も28-18の快勝でした。日本代表はタフになったと思ったものです。

「そうですね。4試合を戦えるだけの力を、4年間でかなりハードなトレーニングをして培ったんです。ワールドカップのスケジュールに合わせて試合をしたり、できる限りの準備をしたり、すべてやっていたので、自信というのはかなりありました」

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