五郎丸歩が語る南ア戦勝利「相手の勝ちたい姿勢が日本に力をくれた」 (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 築田純●撮影 photo by Tsukida Jun

――ほんと、エディー・ジャパン、ムチャクチャ練習していましたものね。

「そう、やってました。丸一日オフはない。基本、半日しか休みがないんです」

――密度の濃い準備の4年間だったんですね。

「すごく刺激的でした。エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)がすごかったのは、毎年の目標設定が絶妙だったということです。1年目はヨーロッパツアーで、日本がまだ勝利したことがないテストマッチに勝ちましょうって。2年目はウェールズにも、あの時はライオンズ(全英国代表)に何人か参加するので、これくらいトレーニングしたら勝てるよって。なんかこう、頑張らないと手が届かないところに常に目標を設定してくれていたんです。明確に選手たちに落とし込んでくれたし、マッチメイクも絶妙だったなと思います」

――チーム結成当初の目標は。

「最初から世界一目指しますって言われても、選手には響かなかったと思いますけど、2011年のファーストミーティングでは"トップ10に入る"って言ったんです。その時、日本は14位ぐらいだったかな。頑張ったら、イケそうだなって思いました。そして、トップ10に入ったら、すぐに上方修正して、"ベスト8"に行こうって」

――南ア戦のことでもうひとつ。以前、「スポーツの本質という観点では負けてしまった」と言っていましたよね。どういう意味ですか。

「実は試合を終えて、非常に反省した部分があったんです。僕らは南アに勝って、飛び跳ねて喜んでいたんです。でも、南アフリカは悔しかったと思いますけど、スカルク・バーガーが先頭で来て、ニコニコしながら、僕らの勝利を称えてくれたんです。なかなかできないですよね。僕らは試合に勝ったかもしれないけど、スポーツという観点でいけば、負けてしまったのかなって。それ、スポーツの本質ですよね、やっぱり」

(後編につづく)

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