34歳でも衰えぬ「小さな暗殺者」。ラグビーW杯に向けて調子も上々 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 今年のワールドカップを見据えて、休暇をしっかりと取った田中は2月から日本代表候補合宿に参加していた。その後、3月中旬にはサンウルブズへ合流する。田中が三洋電機(現パナソニック)に加入した時から師弟関係にある「ブラウニー」ことトニー・ブラウンHC(ヘッドコーチ)に請われたからだ。

 サンウルブズを率いるブラウニーは、キックやパスを使ってスペースを攻める「スマートなラグビー」が信条だ。相手を細かく分析した結果、スペースの狭い方(ブラインドサイド)を執拗に突いてみたり、前に出てくるディフェンスに対してあえて短いパスを多用することもある。

 その分析が功を奏し、サンウルブズは前半、試合の主導権を握った。強豪ハリケーンズ相手にWTB(ウイング)セミシ・マシレワが2トライを奪い、23-10で前半を折り返す。

 サンウルブズのエースWTBマシレワは、トライ後に「江頭2:50」のモノマネを取り入れたパフォーマンスで有名だ。最近では、そのモノマネのあとに自身の愛称である「スネーク」のポーズも披露する。実はこのパフォーマンス、マシレワのハットトリックで勝った3月29日のワラターズ戦前に田中が教えたものだ。そこからマシレワは、3戦で計7トライと絶好調である。

田中は「グローカル(glocal)」という考え方を大事にしている。グローカルとは、グローバル(global)とローカル(local)を組み合わせた造語で、「Think globally, act locally.(地球規模で考えつつ、自分の地域で実践する)」の理念を象徴する言葉だ。これはサンウルブズや日本代表でも大事にされている言葉で、田中は昨年チームの「グローカル賞」に輝いている。

 サンウルブズでは日本だけでなく、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、トンガ、フィジー、ジョージアと、さまざまなバックグラウンドを持った選手がいる、世界でもユニークなチームだ。そんな選手たちが分け隔てなくコミュニケーションを取って「ワンチーム」で戦っていく際に、「グローカル」な考えや行動は欠かせない。

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