2019.04.21

34歳でも衰えぬ「小さな暗殺者」。
ラグビーW杯に向けて調子も上々

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 4月19日、スーパーラグビー第10節が行なわれ、サンウルブズは東京・秩父宮ラグビー場に2016年の王者であるニュージーランドの強豪ハリケーンズを迎えた。

 今年3月末、2020年のシーズンを最後にサンウルブズがスーパーラグビーから除外されることが発表された。スーパーラグビーを統括する「サンザー(SANZAAR)」対して、日本人選手たちは「サンウルブズの強さを見せたい」「外したことを後悔させたい」という強い気持ちで臨んだ。

今季パナソニックからキヤノンへ移籍した田中史朗 そのなかでも、とくに責任感を人一倍、露わにした男がいる。

「子どもたちの夢や希望になれば新しい世界も開けていくので、できるかぎり僕たちがそういうものを見せてあげたかった。子どもたちに世界の扉を閉ざしてしまって本当に申し訳ない。ファンの皆様にも申し訳ないですし、自分たちも本当に残念」

 2013年に日本人選手初のスーパーラグビー選手となったSH(スクラムハーフ)の田中史朗だ。

 スーパーラグビー参入4年目にして初の金曜ナイター試合ということもあり、秩父宮には今季最多1万6805人ものファンが集った。「グラウンドに入った時、すごく多くの方が見に来てくださっていたので、本当にうれしかった」。いつもより気合いが入ったと、田中は言う。

「フミ」の愛称でファンから親しまれている田中は、21番をつけて控えメンバーとしてベンチスタート。ところが、先発したSHジェイミー・ブースが負傷し、予定より早い前半27分からピッチに立った。

 日本代表としてワールドカップに2度出場している田中は、サンウルブズのBKでは最年長となる34歳。スーパーラグビー68試合目という経験が、何よりも大きな武器だ。「おじいちゃんだけど、FWのコントロールがうまい」と、同じくベテランのLO(ロック)トンプソン ルークも田中を絶賛する。たしかに、接点周りで味方のFWを使いながらアタックする術(すべ)は、世界でもトップクラスだ。