東京五輪、男子セブンズ期待の星。明治大の新1年生がいきなりMVP (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 メンバー12人のうち10人がトップリーガーであり、高校生は石田のみ。高校生でセブンズ日本代表に選ばれたのは、2012年2月に「ワールドシリーズ」のニュージーランド大会に参加した東福岡3年の藤田慶和(現パナソニック)、日本航空石川3年の長谷川崚太(現パナソニック)、尾道3年の久内崇史(NTTドコモ)以来の快挙だ。

「セブンズ日本代表に呼ばれたのはうれしかったですが、自分で務まるのかなと、最初は不安に思っていました。ただ、岩渕(健輔)ヘッドコーチに『思いっきりプレーしたらいける』と言われたので、アタックで勝負して相手のディフェンスを切り裂いていきたい」

 大会前にそう語っていた石田は、控えからの出場となったものの、ラスベガス大会ではチリ代表戦、ウェールズ代表戦でトライを奪取。世界でも十分に通用するポテンシャルであることを証明した。初めてのシニアでの代表、そして世界と戦った経験を、石田は「とても勉強になりました」と振り返る。

「外国人選手は日本人選手と比べて手足が長いのですが、捕まるところと捕まらないところがあります。世界とのトップとの対戦でそのスペースが見えてきて、抜けるところがわかってきた。ただ、やっぱりフィジカルの差は感じました。スピードを落とさないように、大学でたくさんトレーニングをして体重を増やしていきたい」

 日本のトップリーガーたちと一緒に練習をし、国際大会を経験したことで、石田には日本代表としての自覚も芽生えてきたという。「東京五輪が身近なものに見えてきました。大学の大会でも、(日本代表という)プレッシャーを感じながら活躍していかないといけない」。その姿勢が、東日本セブンズでのトライにつながったというわけだ。

 そんななか、石田はひとつの決断をする。

 昨年11月の花園・大阪府予選決勝の東海大大阪仰星戦、そして1月の花園・準々決勝の流通経済大柏戦で、左肩を2度、亜脱臼してしまったという。テーピングを巻いて、どうにかプレーを続けることはできたが、2020年になってから再びケガをしてしまうと、東京五輪への出場自体が危うくなる。

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