ラグビーW杯、日本代表の
最終兵器の名は「アタアタ・モエアキオラ」

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 アタアタは12歳でラグビーをはじめ、東海大のチームメイトでもあったNo.8(ナンバーエイト)テビタ・タタフとともに中学3年時に来日し、東京の目黒学院に入学した。

 高校2年時には「花園」全国高校ラグビー大会にも出場。アタアタは主にSOとしてプレーし、力強いランで高校日本代表にも選出された。「トンガカレッジのアカデミーに在籍していて、本当はオーストラリアに行きたかったけど、声がかからなかったので日本に来た。今では日本が大好き。大トロやサーモンの寿司も好き。納豆も食べる」。

 東海大ラグビー部では、先輩のリーチですらなし得なかった「外国人選手初のキャプテン」にも指名された。もちろん、日本語は「高校時代にたくさん勉強した」だけあって、今ではすっかり流暢。「日本に来た時は少しだけホームシックになったけど、トンガの先輩やタタフがいたので問題なかった」と、日本語で懐かしそうに振り返った。

 東海大でも目覚ましい活躍を見せていたアタアタだが、世界から注目を集めるようになったのは「U20チャンピオンシップ」での躍進だろう。2016年6月、イングランドで開催された20歳以下の世界大会で、U20日本代表は世界のトップ12が集まるグループに参戦した。

 そこで、アタアタは世界に名を知らしめる。U20南アフリカ代表戦で、3トライを挙げるハットトリックを達成したのだ。ラグビーの国際統括組織「ワールドラグビー」のSNSでは、アタアタのスピードと破壊力を「新幹線」と例えて大絶賛。アタアタは同大会で合計6トライを挙げて、トライ王にも輝いた。

 もちろん、日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)も、アタアタの存在を放っておくことはなかった。スピードとスキルを兼ね備え、SH以外のすべてのポジションでプレーできる万能BKを日本代表の新たな武器とするべく、2017年にサンウルブズのスコッドに選出した。

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