「ラグビーW杯も東京五輪も両方出る!」怪物・藤田慶和の野望 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 今シーズンのトップリーグでは、リーグ戦とプレーオフ合わせて3試合で1トライ。日本代表の首脳陣にアピールすることができなかったが、年が明けた1月のカップ戦の順位決定トーナメントでは、2試合で4トライと気を吐いた。

 見違えるようなプレーを出せるようになった理由を、藤田はこう明かした。

「リーグ戦が終わったくらいから、『やらないで後悔するなら、やって失敗して後悔しよう』と、マインドセット(心構え)が変わった。それまでは苦手な部分にしかフォーカスしていなかったですけど、今はボールに触る回数を増やして自分の強みで勝負しないといけないと」

 それでも、サンウルブズからも15人制の日本代表候補からも声はかからなかった。

 焦れた藤田は、思い切った行動に出る。今年からサンウルブズの指揮官に就任したトニー・ブラウンに自ら連絡を取り、1月末から1週間、千葉・市原で行なわれる合宿に練習生として参加する許可をもらったのだ。

 市原への移動費は自費。もちろん、日当も出ない。藤田は積極的な姿勢を見せて、ブラウンHCにアピールした。しかし、この合宿で練習生からメンバーに昇格することは叶わなかった。

 そんな折、セブンズから正式なオファーが届いた。だが、うれしい反面、一抹の不安もよぎる。「セブンズに行ってしまうと、2019年の15人制ワールドカップに出場できる可能性がなくなってしまうかもしれない......」と思ったからだ。

 市原での合宿最終日、藤田はブラウンHCと1対1で話し合い、「今後どうしたらいいのか」と相談した。すると、ブラウンHCは「思いはわかったから、セブンズに行ってこい。セブンズで世界レベルと戦いつつ、フィットネスを上げておいてほしい。サンウルブズか日本代表でトラブルがあったら呼ぶから」と言ってくれたという。

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