サンウルブズ=日本代表にあらず。W杯前に課せられた重大ミッション (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 サンウルブズはスーパーラグビー開幕に向けて、現在35人ほどで活動している。NDSを含めた日本代表候補選手のなかからサンウルブズに参加しているのは、PR山下裕史、HO坂手淳史、LO(ロック)ヘル ウヴェ、SO松田力也、CTB中村亮土など、FW=9人、BK=5人の計14人だ。彼ら14人は、日本代表の主力選手がサンウルブズに入ってくる前にアピールをする必要がある。

 昨年、日本代表やサンウルブズで試合出場時間の長かった主力選手たちは、12月中旬から約1月半ほどの完全オフが与えられた。今年9月のW杯本番を見据えて、心身ともに休養してもらうのが狙いである。

 今年2月には、NDSも含めた日本代表候補選手30人ほどが合宿をスタートさせた。彼らは約6週間のトレーニングを重ねた後、サンウルブズに合流するか、そのまま残って昨年「ジャパンA」として活動したようにチームを編成し、スーパーラグビーの2軍などと戦う予定だ。

 サンウルブズでGM(ゼネネラルマネジャー)を務める15人制男子日本代表子の強化副委員長、藤井雄一郎はこう語る。

「外国人選手が多いと思うかもしれないが、今年のサンウルブズの目標は、まず勝つこと。昨年は日本代表候補選手にスーパーラグビーを経験させることも目的だったが、今年はスーパーラグビーで勝てるチームの内側で競争をしてもらう。ワールドカップでアイルランドやスコットランドに勝つには、本物のスーパーラグビー選手を生み出さないといけない」

 つまり、日本代表候補選手たちは、外国人選手が増えたサンウルブズのなかで、実力でポジションを奪わなければならない。

 日本代表主将のリーチは、現体制を歓迎している。

「サンウルブズで試合ができるのは、大きなアドバンテージ。僕らは(W杯までの)9カ月間、ずっと強化できる。だから(W杯では)言い訳はできない」

 今年のサンウルブズは、スーパーラグビーでのプレーオフ進出を目標に掲げている。一方、スーパーラグビーを使って、W杯で勝てる、スーパーラグビーで通用する選手への成長もうながす。日本代表のジョセフHCと、サンウルブズのブラウンHCのもと、「二兎を追う者は一兎をも得ず」ではなく、「一石二鳥」「一挙両得」につながるマネジメント能力が問われるシーズンだ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る