大学に進学せずニュージーランドへ。高校日本代表、メイン平の挑戦 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 海外にチャレンジしたい気持ちの一方で、日本の大学に進学しようかと悩んだ時期もあったという。ただ、先輩が大学で伸び悩んでいる姿を見たこと、日本代表FB松島の存在や、法政二高から単身ニュージーランドに挑戦した狩野太志の記事を読んだこと、そして最終的には「チャレンジしてこい!」と背中を押した母親の言葉で覚悟を決めた。

 メインが憧れのスーパーラグビーで夢を掴むためには、まずはオークランドのクラブチームで活躍し、ニュージーランドの国内トップリーグ「Mitre10カップ」に参戦しているチームでプレーしないといけない。そこで活躍して初めて、オークランドなど本拠地とするブルーズなどから声がかかり、スーパーラグビー出場の可能性が見えてくる。

 かつてITMカップという名称だったMitre10カップのレベルでプレーした日本人は何人かいる。しかし、ニュージーランドのスーパーラグビーチームで試合に出た日本出身選手はSH(スクラムハーフ)田中史朗(ハイランダーズ)とPR(プロップ)山下裕史(チーフス)のふたりだけだ。

 ただ、幼いころからラグビーに真摯に取り組み、英語の日常会話にも困らないというメインは、自信をのぞかせる。

「行ってみないとわからないですが、ボールを持ってから相手を抜くところや、身体を張ったタックルは通用するのでは......」

 メインは現在、ニュージーランドと日本との二重国籍である。個人的には将来、日本代表になってほしいのだが、活躍次第ではオールブラックスという可能性もある。ただ、メインは「今はそこまで考えられません。まず、高校日本代表に選ばれてU19ウェールズ代表と戦ってみたいし、ニュージーランドではクラブラグビーの試合に出てがんばりたい」と、目の前のことに集中している。

 この挑戦が吉と出るか、凶と出るかはわからない。ただ、一歩踏み出さないと、夢への扉を開くことはできない。

 ユース五輪や高校代表などで一緒に汗を流した同級生たちは、これから4年間、大学ラグビーで研鑽を積む。一方、メインはどこまで自分を追い込み、ライバルたちより先に進むことができるか。恩師の竹田監督からは、「やるからには思いっきりプレーしてこい」とエールを送られた。

「近道ではなく、遠回りになるかもしれないですが(苦笑)、同級生が大学を卒業する前までにはスーパーラグビーでデビューしたい!」

 メイン平は確固たる意志で、険しい道のりを進んでいく。

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