大学に進学せずニュージーランドへ。
高校日本代表、メイン平の挑戦

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 高校から強豪大学に進学し、卒業後はトップリーグのチームへ――。これが、日本で活躍する多くのラグビー選手の通例となっている。だが、過去を振り返ると、大学進学よりも困難な環境に身を置き、さらなる成長を遂げた選手たちもいる。

高校卒業後はニュージーランドのクラブチームでプレーするメイン平高校卒業後はニュージーランドのクラブチームでプレーするメイン平 FB(フルバック)松島幸太朗は、桐蔭学園を卒業すると生まれ故郷の南アフリカに渡り、そこで研鑽を積んでからサントリーに入団した。その後、活躍が認められて日本代表に選ばれ、2015年のラグビーワールドカップに出場している。

 昨年度の東福岡を率いたキャプテンFL(フランカー)/No.8(ナンバーエイト)福井翔大も、大学進学という道を選ばなかったひとりだ。高校を卒業すると、すぐに国内の強豪パナソニックに入団。昨年は19歳ながらトップリーグデビューを果たした。

 そして今年も、18歳の若き逸材が日本の大学には進まず、海外の舞台にチャレンジする。奈良・御所(ごせ)実業3年のCTB(センター)メイン平(たいら)だ。

 1月末、高校日本代表のセレクション合宿が行なわれた。集まった3年生34名の中で、日本の大学に進学しないのはメインだけだ。後日、高校日本代表に選ばれたメインは、その活動が終わり次第、父の故郷であるニュージーランドに飛んでオークランドのクラブチーム「ノースショア・ラグビーフットボールクラブ」に所属する。

「小さいころから(世界的強豪クラブの)ハリケーンズに憧れていました。ニュージーランドのスーパーラグビーでプレーするのが夢です!」

 メインが海外に挑戦する理由は、純粋で熱い。

 宮崎出身のメインは、大学などで英語講師をしているニュージーランドの父・マーティーさんと、日本人の母・美紀さんとの間に生まれた。ラグビーを始めたのは5歳。父親の影響で楕円球を追い始めた。なお、姉の桜さんもアスリートとしての能力が高く、九州共立大学3年のハンマー投げの選手で、昨年6月の日本選手権では5位に入賞している。

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