2度目のW杯を目指す33歳。
サンウルブズ加入のFWの要は衰え知らず

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 2019年のW杯で、日本代表はロシア代表、アイルランド代表、サモア代表、スコットランド代表と対戦する。どのチームもFWの選手は日本より大きく、スクラムも強くて重い。スクラム、ラインアウトといったセットプレーで後手に回ると、試合を優位に進められなくなってしまうことは明白だ。

 日本代表を指揮したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC/現イングランド代表)は、「W杯で勝つには、セットプレーの成功率が90%以上必要」と断言し、セットプレーを強化し続けた。そして実際に、2015年W杯ではその言葉を実現してみせた。

 2019年W杯でベスト8以上を目指すジェイミー・ジャパンも、セットプレーの成功率を重要視している。W杯やスーパーラグビーで国際経験の豊富な山下を呼び戻したのは、当然の流れと言えるだろう。また、ジョセフHCが「経験者と若手のバランスをうまく取って、(W杯での)チームを構成したい」という言葉とも重なってくる。

 山下自身も、今年のスーパーラグビーでの経験がW杯で生きると考えている。

「アウェーなどやりにくい会場を経験できるのは、(プレッシャーのかかる)W杯にとっていい練習になる。(W杯では)大きくてパワーのある相手と対戦するので、スーパーラグビーで耐性がつく」

 3月2日の第3節には古巣チーフスとの対戦もある。「ワイカト(NZ)でチーフス戦があるので、出られれば最高ですね。サンウルブズの色を受け入れつつ、自分の色を出し、チームを明るくさせることができればいい」

 また、山下はベテランらしく、現状を冷静に分析している。「具も調子がいいし、愛(ヴァル)もいる。日本代表の右PRでは(自分は)現在3番目だと思う」

 その一方で自信ものぞかせる。「ケガなく、1試合、1試合、全力でやれば、W杯の最後の(日本代表)選考には残れる」

 スーパーラグビーで昨年3勝のサンウルブズは初のプレーオフ進出を目指し、日本代表はW杯で初の8強以上を目標に掲げている。それらを達成できるかどうかは、ベテラン右PRの双肩にかかっている。

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