スタイル変更も前への精神は不変。
22年ぶりVで明大が新時代を築く

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 勝負のアヤでいえば、前半終了間際の天理大の猛攻をゴールライン際で防ぎ切ったのは大きい。最後、天理大のLO(ロック)アシペリ・モアラ(1年)がインゴールに飛び込んだ際、明大フォワードが束になって食い止め、ボールをグラウンディングさせなかった。メイジの執念だった。

 加えて、勝因はボール争奪戦、ブレイクダウンでの奮闘だった。みんな、からだを張った。相手のボールを奪取するターンオーバーが6回。

 これは明大のフィジカルアップゆえだろう。1年間のS&C(ストレングス&コンディショニング)のテーマが「外国人に負けないからだ作り」だった。各自、目標値を設定し、科学的な筋力トレーニングに励んできた。さらにいえば、レスリングコーチの指導も受けて、効果的なからだの使い方も磨いてきた。人に対するタックル、ボールに対する絡み、低さ、相手の下をとる技術...。

 接点でも「前へ」である。フッカーの武井は言った。

「ディフェンスでも、アタックでも、1センチでも前に出る。倒れても、すぐ立ち上がって、1センチ前に出ることを意識していました。その1センチでサポートの入り方、バックスの勢いが変わってくるので」

 ディフェンスが固まれば、アタックにもリズムが生まれる。事前の分析、周到な準備も奏功した。天理が「外から内の方向転換にもろい」と読むと、アングルチェンジで何度もゲインした。前半の中盤の高橋のサインプレーのトライもそうだった。サインが「タンク・エックス(単9X)」。

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