明大FWのプライドが炸裂。
意地のスクラム選択で早大に雪辱を果たす

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 ゴールも決まって、点差を11にひろげた。井上は会心の笑みを浮かべる。

「ものすごく自信になりました。スクラムを押して、みんながしっかり、前に出られた。あそこがメイジの生命線。そこでリベンジできたんですから」

 この1カ月間は、いわば試練だった。対抗戦で早大に敗れたことで対抗戦4位扱いのノーシードとされ、大学選手権では2試合(立命館大、東海大)を戦っての正月超えとなった。対する早大は1試合(慶大)だった。

 だが、そのおかげで、田中監督は「タフになった」と言った。

「選手がたくましくなったと感じます。ノーシードから厳しいトーナメントを勝ち抜いたということが成長につながったと思います。相手をしっかりリスペクトして、相手から学んだことを、八幡山(本拠グラウンド)の練習で成長につなげることができました」

 学生ラグビーにとって、この1カ月は大事な時期となる。加えて、4年生の結束が強まった。じつは大学選手権直前、田中監督の勧めで4年生だけで八幡山駅近くの中華料理店で「食事会」を行っている。

 主力メンバーもメンバー外も、食事をしながら、腹を割って話し合った。酒なしで、食って、話して、食って、チームの方向性を確認した。意志統一である。

 井上が熱っぽい口調で思い出す。

「学生スタッフ2人を入れて、4年生22人全員でした。ぼくら4年生が手本にならないといけない。対抗戦4位になったけれど、目標の大学日本一へはブレないでいこうぜって。互いに檄を飛ばし合って...。今年はメンバー外の4年生の熱量がすごいんです」

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