明大FWのプライドが炸裂。意地のスクラム選択で早大に雪辱を果たす (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 だが、明大はスクラムを選択した。伏線は1カ月前の対抗戦にあった。後半戦の中盤、同じような場面でPKをもらい、スクラムを選択した。だが、コラプシング(故意に崩す行為)の反則を奪われ、好機を逸した。直後、早大にトライを奪われていた。

 このシーンで、フォワード(FW)の選手たちから「リベンジ!リベンジ!」と声があがったそうだ。チームリーダーのひとり、フランカーの井上遼が述懐する。

「バックスからはショット(PG狙い)という選択肢の声も出たんですが、フォワードは"ここは行かせてくれ"と。対抗戦の時は失敗したんですが、そのミスを補うためにもスクラムでトライをとりたかった。絶対、フォワードで行かせてくれって」

 スタンドにいた明大の田中澄憲(きよのり)監督は、PKの選択判断は選手に任せている。スクラムを選択したとき、「おお~と思いました」と声のトーンを上げて記者を笑わせた。

「彼(福田健太主将)がスクラムで行くと選択したとき、すごく頼もしいなと感じたのです。(選択に)正解とかなくて、ああ、こいつメイジっぽいなって。裏目に出るのもメイジっぽいし...。うれしかったですね」

 そのスクラム、紫紺のジャージのかたまりがぐぐっと押し込むと、スクラムが左にずるずるっと動いた。瞬間、ナンバー8の坂和樹が右サイドに持ち出す。ラック。FW陣が2度、3度とサイドを突き、最後はフッカーの武井日向がポスト左のゴールライン上に右手でボールを押さえた。

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