帝京大の10連覇が潰えた要因は。「悔しいけど、胸を張って帰ろう」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

「(帝京戦は)目標である日本一になるための大きな壁。自分たちが意識したのは、ディフェンスとブレイクダウン。フィジカルバトルで勝負する」

 天理大のキャプテンHO(フッカー)島根一磨(4年)はそう語った。

「今年度こそ天理大が勝てるのでは?」

 準決勝を前に、関西のラグビーファンの期待は大いに高まっていた。

 ただ、帝京大も彼らの存在を警戒していた。主将のLO秋山大地(4年)は「1年間やってきたことを100%出そう」と意気込み、副将のFB(フルバック)竹山晃暉(4年)も「突破役となるトンガの3人の選手にボールを集めてくるという分析もしている。帝京のブライドを持ってしっかりダブルタックルしよう」と冷静に試合に臨んだ。

 ところが、キックオフ早々、帝京大はアクシデントに襲われる。前半6分、司令塔であるSO北村将大(2年)が天理大のフィフィタにタックルで吹き飛ばされ、脳しんとうの疑いで交代を余儀なくされる。急遽、WTB奥村翔(2年)がSOの位置に入ったが、竹山が「チームとしても少しショックというか、マイナスのほうに出てしまった。不安な顔つきをしていた」と言うように、動揺があったことは否めない。

 その隙を、関西王者は見逃さなかった。11分、ボールを大きく動かしてからエースWTB久保直人(4年)が右端にトライ。さらに19分、天理FW陣がスクラムを押し切ってペナルティトライを奪い、12-0とリードして前半を折り返した。

 後半、帝京大の岩出雅之監督は控えSHを投入してSH小畑健太郎(4年)をSOに配置し、ボールを大きく動かす積極的な攻撃を仕掛ける。すると4分、竹山のグラバーキックをWTB木村朋也(2年)が右端に押さえてトライし、さらに竹山が難しい角度からゴールを決めて12-7と5点差に迫る。

 このトライを機に、真紅の王者が盛り返すのかと思われた。

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