帝京大の10連覇が潰えた要因は。「悔しいけど、胸を張って帰ろう」

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 10連覇を目指した「真紅の王者」がついに敗れた。あるものは曇天の空を見上げ、あるものはひざをついたまま立ち上がれなかった。

 ラグビー全国大学選手権は1月2日、東京・秩父宮ラグビー場で準決勝が行なわれ、9連覇中の帝京大(関東大学対抗戦1位)が天理大(関西Aリーグ1位)のチャレンジを受けた。注目が集まるなか、試合の主導権を握ったのは天理大。前半から接点とスクラムで王者を上回り、29-7の快勝で帝京大の大学選手権連覇記録を9で止めた。

帝京大10連覇の夢は準決勝で潰えた帝京大10連覇の夢は準決勝で潰えた 春から予感はあった。帝京大は春季大会で明治大に敗れて優勝できず、夏も明治大と早稲田大に苦杯をなめた。それでも、9月から公式戦が始まれば、4年生FWを中心とした強力なフィジカルを前面に出し、対抗戦記録となる8連覇を達成した。ただ、対抗戦では慶應義塾大に苦戦し、明治大にも敗れ、例年ほど盤石の強さを示すことはできなかった。

 大学選手権・準決勝の相手は、関西Aリーグで3連覇を達成した「黒衣軍団」天理大。大学選手権では、2011年度の決勝で対戦して12-15、2016年度は準決勝でぶつかり24-42と、ともに帝京大に敗れている。

 ただ、8月の夏合宿では12-14と、帝京大に僅差の結果を残した。王者の強さを身にしみて体験した天理大は、大学選手権での再戦を想定し、接点の激しさ、ふたり目の寄りの速さ、そしてフィットネスを鍛えてきた。

 また、それに加えて今年の天理大には、能力の高い選手が揃ってきた。日本代表2キャップを誇るNo.8(ナンバーエイト)ファウルア・マキシ(4年)、LO(ロック)アシペリ・モアラ(1年)、CTB(センター)シオサイア・フィフィタ(2年)という突破力に長けたトンガ人留学生3人、さらに2年生ハーフ団のSH(スクラムハーフ)藤原忍、SO(スタンドオフ)松永拓朗を擁している。

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