100年目の花園。「東の横綱」桐蔭学園のSH小西泰聖に注目だ! (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 昨年度の花園、優勝候補の一角だった桐蔭学園は準決勝で大阪桐蔭と対戦。7-12のビハインドから、64次の連続攻撃を仕掛ける。だが、最後はペナルティを犯してしまいノーサイド。あと5点、残り1メートルが届かなかった。

「SHとして(攻撃を)コントロールできなかった。自分自身の力のなさを感じた。成長させてもらうキッカケになりました」(小西)

 他の強豪校よりも身体の小さい選手が多い桐蔭学園は、新チームとなった1、2月、展開ラグビーの基本となるパス練習を徹底的に繰り返した。小西もSHとして、どんなきつい状況でも、そしてどんなプレッシャーでもボールをさばけるように、「毎日投げました」と語る。

 小西ら3年生は、今シーズンのスローガンを『磨』と定めた。

「先輩たちが『礎』(昨年のスローガン)を作ってくれて、優勝への道のりを示してくれたので、それを磨くという意味です。このスローガンを掲げた1年間は、身体づくりやフィットネス、ボールさばきやハンドリングスキルなど、しっかり磨いて準備してきた」

 小西はこの1年を振り返り、さらにキャプテンとしての意気込みをこう語った。

「FWとBKにバランスよくボールをさばくのが、僕の仕事のひとつです。さらに、キャプテンとして負けている一番きつい時間帯で、いかにチームを盛り上げられる声を出せるか。冷静にプレーすることが求められている」

 桐蔭学園らAシード校は、12月30日の2回戦が大会初戦となり、準々決勝までシード校と当たらない。藤原監督が「私も金子(俊哉FWコーチ)も高校時代、花園で優勝を経験しているので、選手たちにも単独優勝してもらいたい」と言えば、小西も「花園で単独優勝するという目標は、この1年ずっとブレていない。先輩たちの思いも背負って勝ちたい」と語気を強めた。

 小西は来春、尊敬する高校の先輩・齋藤がいる早稲田大に進学する。春の選抜大会との2冠、さらには初の花園単独優勝を手土産に卒業できるか。

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