ラグビー日本代表、秋のシリーズ通信簿。1勝3敗で見えた課題と希望 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 さらに今回の秋のシリーズでは、ケガなどの理由で主力がチームにいなかった点も考慮しなければならない。

 FL(フランカー)リーチ マイケル、PR(プロップ)稲垣啓太、SO(スタンドオフ)田村優、WTB(ウイング)福岡堅樹といった2015年W杯組が活躍した一方で、HO(フッカー)堀江翔太、FL徳永祥尭(よしたか)、No.8(ナンバーエイト)アマナキ・レレィ・マフィ、FB(フルバック)松島幸太朗&野口竜司が不参加。WTBレメキ・ロマノ・ラヴァも世界選抜戦後に離脱し、CTB(センター)立川理道はパフォーマンスが上がっていないなどの理由で外れている。

 逆に言えば、若手や代表復帰した選手にとって、この秋のシリーズは大きなチャンスだったとも言えよう。「他の強豪国と比べて、日本代表は選手層が薄い」と事あるごとに発言していたジョセフHCからすれば、大きな舞台で新しい選手を試すいい機会となったはずだ。

「悪いタイミングでケガ人が多く出てしまいましたが、逆にとらえれば、新たに入ってきた選手や若い選手に機会を与えられるということ。今回選ばれた選手は、トップリーグのパフォーマンスで彼ら自身がチャンスを作り出した。W杯に向けて若手が活躍し、層をより厚くできると思うとワクワクしています」

 ジョセフHCは新戦力の台頭を期待し、事実、この秋のシリーズではPR具智元(グ・ジウォン)やFL/LO(ロック)姫野和樹の活躍が目立っていた。だが、そのなかでもFW(フォワード)でひと際存在感を示していたのは、25歳のHO坂手淳史だ。

 HOはスクラムやラインアウトといったセットプレーの要で、司令塔のSH(スクラムハーフ)と同じぐらい替えの利かないポジションである。W杯に2度出場した国際経験の豊かな堀江が不在の今シリーズにおいて、1試合目は庭井祐輔が先発したものの、2試合目以降は坂手がその座を奪った。

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