オールブラックスも速さを絶賛。文武両道の韋駄天がリベンジに燃えた (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 徐々にボールタッチが増えて、ゲインする回数も増えてきた後半30分、福岡にとって最大の見せ場が訪れる。日本代表が相手陣でラックにプレッシャーをかけてターンオーバーしたあと、素早く左に展開。福岡は左タッチライン際でボールを持つと、スピードとハンドオフで相手ふたりをかわす。最後はタックルを受けながらも、タッチに出る寸前でボールを味方につないで、CTB(センター)ラファエレ ティモシーのトライにつなげた。

「トライの起点になれてうれしい! 世界のトップが相手でもハンドオフして自分のスピードとフィジカルを使えば前に出られた。これはいい収穫になったし、自信にもなる」

 相手ディフェンダーを3人引きつけた福岡のランから大きなチャンスが生まれ、日本代表らしい素早い展開でトライに結びついた。サンウルブズやトップリーグでは幾度となく見てきたシーンだったが、オールブラックス相手でも難なくやってのける――それが、今の福岡のすごみである。

「欲を言えば、トライを獲りたかったですね!」

 試合後、福岡は悔しさをにじませた。だが、今回の試合は来年のW杯開幕戦を行なうスタジアムということもあり、「開幕戦まで(味の素スタジアムでの)トライはお預け、ということで」と、トライゲッターは笑顔で来年を見据えていた。

 もちろん、69失点を喫したことについては、福岡も厳しい表情で課題を口にする。

「接点で相手にボールを奪われたところ、そしてディフェンスは改善しないといけない。WTBとして(ディフェンス時に)リードしてコミュニケーションを取り、外で余らせないようにしたい」

 日本代表はこの後、渡英して、11月17日に母国の聖地「トゥイッケナム・スタジアム」にて前指揮官エディー・ジョーンズHC率いるイングランド代表と対戦。そして11月24日には、ラグビーW杯の開幕戦でぶつかるロシア代表と「キングスホルム・スタジアム」で試合を行なう。

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