ラグビーW杯日本大会への試金石。
NZ対豪州には3つの価値があった

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 豪州のマイケル・フーパー主将は敗戦に気落ちしながらも、競技場についてはこう評した。

「ピッチは世界一級品だと思う」

 この試合の2つ目の価値は、ラグビーが国際ビジネスとして成功している点である。チケットの最高(カテゴリー1指定)が前売り3万円というRWCレベルであっても、全体で4万6千を超える人々が観戦した。RWC2019日本大会のオフィシャルスポンサーであるキヤノンが「冠スポンサー」として特別協賛し、テレビの地上波、衛星放送でもライブ中継された。公式プログラム、関連グッズも販売された。

 加えて、3つ目の価値が、来年のW杯に向けた大きな運営面のテストイベントだったことである。ラグビーワールドカップ2019組織委員会も大量のスタッフを研修に送り、神奈川県、横浜市の地元自治体も、会場周辺の警備や観戦客の誘導方法などをチェックした。JR新横浜駅などからの歩道にはボランティアが立ち、外国人観戦客らをサポートした。

 今後、運営面を検証していくことになるが、神奈川県の平田良徳・スポーツ局長は、この試合の収穫を挙げた。

「本番1年前に大会運営をビッグマッチで試せたことは大きい。課題を見つけ、改善していきたい。国全体で考えるとまだ盛り上がりが足りないので、ここ(横浜)から人気がもっと高まっていってほしい」

 至福の時だった。いろんな意味で開催意義のあったブレディスロー杯だった。NZ代表は11月3日、東京・味の素スタジアムで、こんどは若手主体のメンバーで日本代表と対戦する。

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