帝京大を追い詰めた松岡修造の甥、慶應大・辻雄康もハートの熱い男 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

「大学選手権4連覇、5連覇くらいはフィジカルで圧倒できましたが、今ではどの大学も食事やトレーニングなど、ファンダメンタルを支える要素をしっかりとやっている」

 9連覇中の帝京大・岩出雅之監督がこう振り返ったように、慶應大も帝京大と対等に戦えるだけの力をつけていることを証明した。

「フィジカルでも勝っていることを感じることができましたし、FWとしてもそれを体現することができた。身体を当ててみて、自分たちの形で勝てる可能性を感じた」

 辻も試合後、自信と一定の手応えを口にした。

 慶應大卒業後はラグビーを辞める選手が多いなか、ジュニア・ジャパンにも選出された経験のある辻は、来シーズンからトップリーグでプレーすることを決めた。日本代表に選ばれ、桜のジャージーを着て2023年のワールドカップに出場することをターゲットにしている。

 ただ、その前に辻は、ラグビーを始めた小学校から目標に掲げていた大学日本一になることに集中している。帝京大には敗戦したものの、明治大や早稲田大が帝京大に勝ち、慶應大が今後対戦する明治大や早稲田大に勝てば、対抗戦優勝の可能性も出てくる。

 もちろん、本番は12月と1月の大学選手権だ。今後に向けて辻は、「いろいろな状況を想定し、きつい状況でも正しい判断をする。そして最後まで、慶應らしいラグビーを実行する」ことを課題に挙げた。

 日本ラグビーのルーツ校である慶應大が1999年以来の大学王者に輝くには、辻がタイガージャージーの先頭に立ち、他校のFW陣を圧倒することが欠かせない。

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