釜石鵜住居復興スタジアムが完成。
レジェンドたちも「想い」をつなぐ

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 谷本結利●写真 photo Tanimoto Yuuri

 V7戦士は早逝した釜石OBの洞口孝治さん(1999年没、享年45)や神鋼OBの平尾誠二さん(2016年没、享年53)ら故人を偲んだ。実は公式プログラムをよく見ると、OBではない、釜石のラグビー少年の名前がV7戦士物故者のリストに記されている。

 昨年2月、病気で天国に召された佐藤蓮晟(れんせい)君である。まだ13歳だった。ラグビーが大好きで、ワールドカップを釜石で観戦するのが夢だと口にしていた。

 少年の父、新日鉄釜石ラグビー部OBの佐藤大輔さんはこの日、ロックでOB戦に出場して、こう、ボソッと漏らした。

「れんせいに、試合を一緒に観戦してほしかったですけど...」

 小さな新スタジアムには、いろんな人の思いと希望が詰まっている。特徴が、「羽ばたき」と「船出」を表現した白い大屋根。世代と時代をつなぐ、日本と世界をつなぐ、老若男女がスポーツを通してつながる「復興のシンボル」として、ついにスタートしたのだ。

 JR釜石駅前に大きな横断幕が下げられている。白地に青字でこう、描かれている。

<伝説はまた、ここから始まる>

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