イケメン松井千士が再びスター街道へ。セブンズW杯で切り札となる

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 リオで止まっていた時計の針が、ふたたび東京に向けて動き始めた――。

 7月8日に東京都内で記者会見が行なわれ、7月20日~22日にアメリカ・サンフランシスコ「AT&Tパーク」で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)の男子7人制ラグビー日本代表メンバーが発表された。そのメンバー13名のなかには、サントリーサンゴリアスに所属するWTB(ウィング)松井千士(まつい・ちひと)の名前もあった。

世界に通じるスピードが自慢の松井千士世界に通じるスピードが自慢の松井千士 身長182cmの松井はすらっとしたモデルのような風貌が人気を呼び、女性誌などでイケメン選手として紹介されたこともある23歳。兄・謙斗(豊田自動織機シャトルズ)の影響で小学校1年のときに楕円球と出会い、高校時代からその快足でトライを量産してスター街道を歩んできた。兄と同じ大阪の強豪・常翔学園(旧大阪工大高)の3年時には、「花園」こと全国高校ラグビーの決勝で逆転トライも決めている。

 大学は「関西の雄」同志社大に進学すると、大学2年のときにセブンズの日本代表に初選出。さらに大学3年のときにはエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)に「スピードがある。チームに勢いをもたらしてほしい」とポテンシャルを見出され、20歳で15人制のキャップも得た。その後、ふたたびセブンズに活躍の舞台を移すと、2015年11月に行なわれたリオ五輪のアジア予選では9トライを挙げてトライ王を獲得。オリンピック出場に大きく貢献し、松井の目の前には華々しい未来が広がっていた。

 しかしながら2016年、満を持して臨むはずだったリオ五輪の直前に、まさかの悲劇が訪れる。直前のオーストラリア合宿でタックルやフィジカルの弱さを露呈し、12人のメンバーから落選。藤田慶和(パナソニックワイルドナイツ)とともに、バックアップメンバーとして帯同することになった。

 リオ五輪で日本代表はニュージーランド代表を破り、メダルは逃したものの4位に入賞。その躍進にファンは歓喜に沸いたが、バックアップメンバーの松井はリオのピッチに1秒たりとも立つことができず、歯を食いしばりながらスタンドで見守ることしかできなかった。

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