こっちの「ジャパン」は強いぞ!
ラグビー日本代表、イタリアに快勝

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 右プロップの具智元(グ・ジウォン)は中学3年から4年間、大分で過ごした。日本文理大学付属高でプレーし、いわば大分が"第二の故郷"となる。「スクラムはイメージ通りに組めました」。カリフラワーのようにつぶれた右耳。23歳の額から大粒の汗が落ちる。

 父親は韓国代表の名プロップだった。小さい頃からスクラムの手ほどきを受け、日本代表の長谷川慎スクラムコーチと同じことを父親からも言われてきたそうだ。「スクラムは8人で組むことが大事だ」と。

 スタンドには両親や高校ラグビー部の監督らが応援に駆けつけた。「声援、聞こえました」と充実感に浸る。

 相手が間合いを取って組んできても、内側に入ろうとしてきても、あるいは下に落としにきても、隣とのバインドを締め、体を強く寄せて一体感を意識した。

「相手が崩しにきても、横、後ろとしっかりくっついて、うまく対抗できました。とくにマイボールは結構、安定して組めた。自己採点? 75点ぐらいです」

 184cm、122kg。スクワットがチーム随一の240kg。「スクラムをもっともっと強くして、ワークレート(仕事量)も上げていきたい」。これで目標のRWC出場に一歩近づいた。

 このほか、リーチ主将は相変わらずの豊富な運動量と激しさを見せ、アマナキ・レレイ・マフィもワールドクラスのフィジカルを発揮した。姫野は強じんな足腰を生かし、倒されても拾っては前に前に出た。田村も絶妙のキックを織り交ぜ、ラインをうまくマネジメントした。加えて、攻守に全員の意思統一が見えた。

 そういえば、ちょうど4年前、エディー・ジョーンズHC率いる日本代表もイタリアを下し、テストマッチ10連勝を記録した。その時のジャパンと比べると?と聞けば、堀江が興味深いことを言った。

「今はみんな、意欲を持ってやっているんじゃないですか。あのとき(4年前)は、やらされているだけだったんで」

 もしも対戦したら? 勝ちますか? 32歳のベテランフッカーは苦笑した。

「はい。僕はそう思っています」

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