こっちの「ジャパン」は強いぞ!ラグビー日本代表、イタリアに快勝 (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 リーチ主将は会見でこの日の朝食後のエピソードを教えてくれた。リーダーズグループのスクラムハーフ流大(ながれ・ゆたか)が控えメンバーを集めて、試合中の展開を想定してのミーティングをしていた。

 リーチが説明する。

「点差がビハインドの時はどうするのか。アタックするのか、地域をとりにいくのか、と。それを聞いた時、勝ちを確信しました。チーム全体で最高の準備ができていたんです」

 世界ランキング11位の日本代表に対し、イタリアは同14位に過ぎない。でも、タフな欧州6カ国対抗でもまれているチームだ。今年3月には、日本がRWCで対戦するスコットランドと接戦を演じていた。

 9日。RWCの開催地、大分の大分銀行ドームだった。そのイタリアに対し、日本が持ち味を存分に発揮した。このカードの勝利は4年前に初勝利を挙げて以来、2戦連続となった(通算2勝5敗)。日本は戦略も的中し、スピードと運動量で圧倒した。日本代表が目指す、"スマートなラグビー"を見せた。

 その典型が、後半中盤の"技あり"のトライだった。まずラインアウトのモールから、フランカー姫野和樹、リーチらフォワード陣がガンガンガンと縦を突く。ポイントから左へ右へ回す。相手のディフェンスが乱れかけた時、右タッチライン際に残っていたフッカー堀江翔太が右手を挙げ、20~30m離れたスタンドオフの田村優に合図を送った。

リーチ主将とともに、チームを引っ張る堀江翔太リーチ主将とともに、チームを引っ張る堀江翔太 アイコンタクトだった。堀江がちょっぴり得意げに説明する。

「目の前がまるまる、空いていたんです。ユウ(田村)やったら、僕の立ち位置と目だけで多分、通じるやろうと思って」

 スペースを見つけた田村が低い弾道のキックパスを蹴った。どんぴしゃで堀江が跳び上がってキャッチし、内にいたウイングのレメキ・ロマノラヴァに"タップパス"。右中間に駆け込み、点差を広げた。

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