ラグビー慶応大の主将は医学部。
解剖実習を乗り越え、打倒・帝京大へ

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 3年時からリーダー的な役割を担っていた古田は、キャプテン就任後から気をつけていることがある。それは、司令塔というポジション柄、どうしても意見を多く言ってしまいがちになることだ。そのため、古田は常に、「みんながリーダーになれるような組織になってほしいから、僕はあまりしゃべらないように意識している」という。その行動に対して金沢HCは、「(古田は)自分だけでなく周りを巻き込むように、うまく(キャプテンが)できていると思います」と目を細める。

 中学時代からともに慶應で楕円球を追ってきた副キャプテンのLO(ロック)辻雄康(つじ・たかやす/4年)やFB(フルバック)丹治辰碩(たんじ・たつひろ/4年)は、大学卒業後にトップリーグの舞台へと進む予定だ。その一方で古田は、来年の5年生以降は医師国家試験の準備のために、最前線で選手としてラグビーに取り組むのは「今年でもう終わり」と心に決めている。

「辻や丹治は先を見ていて、すごくレベルを上げていますし、世界を見ているのでカッコいいなと思います。ただ、ラグビーを続けるなら、すべてを賭けないと日本代表にはなれない。今は慶應というチームで、プレーヤーとしてもリーダーとしても一生懸命がんばることに魅力を感じています」(古田)

 もちろん今年度も、慶應大の目標は1999年度以来となる大学選手権での優勝だ。古田もキャプテンとして、ラストチャンスに賭ける想いは人一倍強い。

「(今年も)日本一を狙える位置にいると思いますし、いかに(日本一を)追求できるか。高校時代は東福岡(福岡)を破って優勝できるとは思っていなかったですが、大学はどのチームも帝京大に勝てないとは思っていない。最後に勝って終わらないと意味がないし、『優勝しないと(卒業した後に)本当の仲間と思えない』とみんなも言っているし、僕もそう思っています」

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