ラグビー慶応大の主将は医学部。解剖実習を乗り越え、打倒・帝京大へ (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 現在の慶應大ラグビー部は、授業前の朝にウェイトトレーニングを行ない、さらに授業後の18時くらいから全体練習というスケジュールを組んでいる。1時限目から4時限目まで毎日授業がある古田は、神奈川県出身だが特例として1年の冬から寮に入れてもらった(本来は1年生で寮に入れるのは遠方の県外生徒のみ)。

「周りの人のサポートが大きかったです。医学部は2年生から(日吉のグラウンドから遠い)信濃町だったので、寮に入らないと無理でした」

 また、古田は両立するために「準備」も心がけたという。

「ラグビーの試合が日曜日なら、まずは取り組むテーマを決めて、月曜日から相手のビデオを見て、キックの練習をして......とやりますが、それはテスト勉強も同じで、1ヵ月前、2週間前というふうに準備します。すべてそうですが、準備を早くすることが大事です。今は(医学部にもラグビー部にも)どちらにも迷惑かけていないと思います」

 ただ、そんな古田も2年時の後半、ラグビーの公式戦と医学部での解剖実習などが重なった時期は、「今では、もうできません(苦笑)」というほど両立が大変だったという。「僕のミスで負けた試合もありましたが、授業でヘロヘロでも試合に出してくれましたし、金沢HCや当時の4年生が助けてくれましたし、最後まで支えてくれました」と感謝を口にする。

 慶應大は昨年度、十分に優勝を狙える位置にいたと言っていいだろう。9連覇した帝京大には3点差で惜敗したものの、準優勝の明治大には関東大学対抗戦で勝利した。他に敗戦した試合を見ても、早稲田大戦は2点差、大東文化大戦は5点差という僅差だった。一昨年も負けた試合は最大でも11点差と、大敗を喫していない。

 一方で、それは厳しい言い方をすれば、「接戦に弱い」ということにもなる。そこで古田を中心とするリーダー陣は、ラグビーの質をもっと上げるとともに、「毎日一生懸命やる」「どんな試合でも勝ちにこだわる」「細部にこだわる」という3つのテーマを1年間やり抜き通すと決めた。

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