ラグビー明治大、22年ぶりの頂点へ。新主将&新監督で春は帝京大を撃破 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 新チームとなった今季、田中監督はコーチ陣と話し合って福田をキャプテンに指名した。その理由を田中監督に尋ねると、「80分間、試合に出られるから(選びました)。クレバーだし、メンタル面も強気だし、嫌なこともしっかりと言える。いいリーダーだと思います。チーム引っ張ってほしい」と期待を込める。

 それに対して福田も、現役時代に同じポジションだった田中監督に全幅の信頼を寄せている。

「キヨさん(田中監督)は朝の5時半くらいに来て、夜遅くまで分析などをしている。そういった姿を見ていますし、キヨさんの言っていることは筋が通っている。信じてついていけば、日本一が取れると思います」

 福田には3年時の秋、今でも忘れられない出来事があった。

 田中がヘッドコーチに就任した年に、それまで控え中心だった福田はレギュラーの座を射止めた。さらに学年リーダーやアタックリーダーも任され、春から全試合に先発する。ところが9月、同志社大との定期戦で先発からベンチメンバーに落とされてしまったのだ。

「(3年の)春からずっと試合に出ていたのですが、後に(慢心が)態度に出てしまった。それをキヨさんに察せられ、コーチ部屋に呼ばれてラグビーに対する根本的な姿勢などを指摘されて......。自分のなかで、グサッと刺さりました」

 そこから、福田は変わった。それまで周りの目を気にしていた部分もあったが、気にせずに全力でフィットネストレーニングと向き合い、試合前も相手の分析をしっかりと行なうようになったという。福田は「(キヨさんに)そのままずっとやり続けろと言われましたね。分岐点となりました」と振り返る。

 田中監督は大きく変わった福田キャプテンを支えるため、今年から「リーダーズグループ」を構築した。昨年まで学年別にリーダーを決めていたが、今年からは福田キャプテンだけでなく、4年のFW4人・BK4人をリーダーに指名し、その下に学年やポジションに関係なく選手を配置。練習だけでなく掃除など日々の行動を各リーダーにチェックさせて、より深いコミュニケーションの活性化を図っている。

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