創部100年、低迷する早稲田大ラグビー部を救うのは「この男」か? (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 桐蔭学園高時代からゲームコントロール、パスのさばき、プレースキックのうまさに定評があった齋藤は、花園準優勝をひっさげて早稲田大に進学。1年生から9番の定位置を確保し、U20日本代表やジュニア・ジャパンでも存在感を示していた。「将来の日本を背負う存在のひとり」と評される期待のSHである。

 ただ、「JAPAN A」において、齋藤はSHのなかで3番手。ニュージーランド遠征の3試合ではあまり出番がないのではないか、と予想されていた。ところが、スーパーラグビーのメンバー外選手で構成されたブルーズAとの2戦目で、齋藤は後半6分から出場すると、早々にゲームのテンポを変えてトライを演出。40分にはしっかりと味方をフォローしながらインゴールし、34-27の逆転勝利に大きく貢献した。

 齋藤のパフォーマンスを見た日本代表兼サンウルブズ指揮官のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、彼の将来性をこのように高く評価する。

「齋藤は将来有望な選手です。大学生なので、いきなりスーパーラグビーに入れるのはアンフェアだと思った(だからサンウルブズには招集しなかった)。ただ、彼にはチャンスは巡ってくると思います」

 ラグビー王国ニュージーランドのスーパーラグビー予備軍相手に活躍できた要因を、齋藤はこう振り返る。

「堀川さんに『もっと自信を持て』と言われたことが大きかった。自分はネガティブなタイプで、ミスばっかりを怖れていましたが、『自信を持てないなら、自信が持てるまで準備しろ』と言われて、(それを実践したことで)自分のなかでも変われた」

『堀川さん』とは「JAPAN A」の堀川隆延HCのこと。ヤマハ発動機ジュビロでは清宮克幸監督の右腕として手腕を発揮している指導者である。堀川HCとの面談を通じてメンタル面が変わり、それが技術面やプレー面にも影響を及ぼしたというわけだ。

 このニュージーランド遠征で齋藤が活躍したことによって、彼が日本代表として2019年ワールドカップに出場する可能性がわずかながら出てきたと言えよう。もっと高いレベルで経験を積めば、2019年にもおもしろい存在になり得るのでは、と思わせた。

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