「ラグビーが恋人」の23歳に期待。開幕5連敗サンウルブズの突破口 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 しかも昨シーズン後半、姫野はコンディションを崩していた。「毎週が(帝京大時代にトップリーグと戦った)日本選手権のよう」と言うように、トップレベルで戦い続けた身体的疲労やキャプテンを務めた精神的疲労の影響により、体調を崩していたのである。

 そんななかで招集された、1月末からのサンウルブズ合宿。姫野は10日間のオフを挟んで臨んだ。内容は1日3〜4部練習に加え、自衛隊で2泊3日のキャンプも敢行。短い準備期間でチームビルディングと戦術の落とし込みを同時に行なったため、そのスケジュールは非常に過酷なものだった。

 ただ、合宿中の姫野は終始、明るかった。「毎日が精一杯です。でも、自分にフォーカスを当てることができています。まずはチーム内競争に勝たないといけないのですが、切磋琢磨できて楽しい!」と、笑顔で取り組んでいた姿が印象的だった。

 そして迫ってきた、サンウルブズ3年目となる今シーズン開幕戦。姫野はそれまでベンチ外だったが、日々の練習に全力で取り組んでいたことが功を奏したか、試合の週になると先発メンバーを示す青のビブスを着用するようになる。そして開幕日、姫野はコンディションの上がらない日本代表キャプテンのFLリーチ マイケルらを抑え、先発の「6番」の座を見事に勝ち取った。

「強みであるランでゲインしたい。FLなのでタックルでも身体を張りたい。ルーキーらしく、がむしゃらにいきたい」

 その言葉どおり、開幕戦で姫野はFLとして、そして試合途中からはケガ人の状況もありLOとして、80分間戦い続けた。オーストラリアの強豪ブランビーズ相手に25-32と敗戦したものの、タックルの回数はチーム内で3番目に多い16回、ボールキャリアの回数はFWで2番目に多い9回と、スーパーラグビーの舞台でも通用することを証明した。

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