ラグビー日本代表に現れた「女子高生トリオ」はW杯で世界と戦えるか (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 一方の加藤と小西の2人は、嬉しい日本代表のデビュー戦となった。2人とも昨年11月のW杯予選メンバーに選ばれていたが、試合に出場することは叶わず、6月の欧州遠征はケガのため参加できなかった。そのため、この試合が2人にとって初の国際試合となった。

 共に体幹が強く、タックルやボールキャリアの能力が高いFWの選手で、ほぼ試合が決まった後半26分から出場した。PRやLOは、スクラムやラインアウトといったセットプレーを安定させることが大きな仕事のひとつだが、有水HCは「セットプレーはなかなか日本代表の試合以外で経験することはできませんが、(加藤と小西の2人は)代表の合宿などで経験を積めました。(目標とする)W杯ベスト8という意味ではレベルアップしないといけないものの、一定のスキルは体現できたと思います」と及第点を与えた。

 しかし、初キャップを果たしてチームは快勝したにもかかわらず、加藤と小西に笑顔はなかった。

 スクラムの要である右PRとして出場した加藤は、初めての国際試合で気負ってしまった部分もあったようで、「早く押してしまう反則を取られてしまったし、(ミスが多かった)ラインアウトも課題です」と振り返った。小西も「短い時間だったので、自分のプレーが出し切れなかった。ディフェンスの上がりやセットするスピードを早くしたい」と、十分に力を発揮できなかったことを反省し、次戦での奮起を誓った。

 昨年のリオデジャネイロ五輪から7人制ラグビー(セブンズ)が正式に採用され、「サクラセブンズ」と呼ばれた女子7人制日本代表に世間の耳目が集まった。一方で、女子も男子同様に、7人制だけでなく15人制でプレーする選手も多い。そんな女子ラグビー選手にとって、1991年から行なわれているW杯は、オリンピックと並ぶ大きなターゲットとなっている。

 柔道やソフトボールの経験もある164cm、78kgの加藤や、166cm、77kgで同じく柔道もやっていた小西は、運動量やスピードの求められる7人制よりも15人制向きの選手といえよう。実際に、2人とも「(タックルなど)コンタクト(身体的接触)がたくさんできる15人制が好き」と話している。また、津久井も「自分のパスでトライにつながったら嬉しいので、今は(7人制よりも)15人制の方が楽しい!」と声を弾ませる。

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