五郎丸歩の美しいシナリオ。ヤマハ初優勝の先にはW杯が待っている (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 清宮監督がそう言うとおり、ヤマハにとって五郎丸の存在は「Xファクター(未知なる要素)」となる可能性も十分にある。

 さっそく五郎丸は、会見後に行なわれた練習で進化した姿を見せた。それは、プレースキック時の「五郎丸ポーズ」の封印だ。ジャージーの下を両手で引っ張る新しい「ルーティン」に変更され、キックティーもキックの蹴り方も変わっていたが、9本中8本をゴールに沈めた。

「みなさんにとっては(五郎丸ポーズは)重要かもしれませんが、僕にとっては重要ではない。キックティーやボールの置き方を変えただけで、体重移動は変えていない。(キックを蹴るときに)一番大事なのは体重移動で、トゥーロンではこういった感じで蹴っていました。今日はいい感じで蹴れました」

 また、海外挑戦中に考えていたことを、五郎丸はこのように語っている。

「海外でもひとりで『自主性』をテーマにやっていました。自分自身を磨くために、受け身ではなく、自分から掴みにいくという意識が変わった」

 たとえ出場機会が得られずとも、クサらずに毎日キックの練習を繰り返し、より高い成功率を求めてルーティンやキックの蹴り方を変えてきた、というわけだ。

 少し気が早い話かもしれないが、五郎丸がトップリーグで活躍すれば、ファンやメディアが待望するのは「桜のジャージーへの復帰」だろう。五郎丸本人は「自分に意志があるとかないとか、まだ言える立場ではないですが、まずはヤマハでしっかりとしたパフォーマンスを出して、また日本代表にふさわしい選手になれるようにがんばりたい」と控えめながら意欲を見せた。

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