五郎丸歩の美しいシナリオ。ヤマハ初優勝の先にはW杯が待っている (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 世界で結果を残すことができなかった五郎丸に日本への復帰の声をかけたのは、早稲田大学時代の恩師で現在ヤマハの指揮官を務める清宮克幸監督だった。常々、LINEでコンタクトを取っていたという清宮監督は「いつでも帰る場所があるから、思いっきりやってこい」と見守り、トゥーロンとの契約が切れた五郎丸に「ふたたびヤマハでプレーしよう」と誘った。

 一方の五郎丸も「1年半、海外でラグビーをしていましたが、出場数がやはり少なかった。これ以上、海外にいると、どうしてもパフォーマンス的にもメンタル的にも難しい」との思いから、試合出場機会を求めて日本復帰を決めた。先発で試合に出場し、キックを蹴りながらゲームに入っていくスタイルの五郎丸にとって、海外でパフォーマンスを出し切れなかったことは想像に難くない。特にフランスでは、得意のプレースキックを蹴る機会は一度も与えられなかった。

 五郎丸は大学卒業後、2008年から2016年までヤマハに在籍し、会社の業績が悪化してプロ選手廃止となったときには社員選手にもなった。そして今回、ふたたびプロ選手としてヤマハに復帰する。その経緯を振り返り、「本当にラグビー選手としてヤマハとともに成長させてもらいましたので、私自身はヤマハでラグビー人生を終える覚悟でいます」と、サックスブルーのジャージーへの愛を貫く決心を語った。

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