団結力で戦う「日本流スクラム」は2019年W杯で世界に通用するか (3ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • photo by FAR EAST PRESS/AFLO

 また、体づくりにも時間を割いた。4人がふたり1組となって、それぞれ縦長のスクラム姿勢を取り、互いに圧力をかけ合う。昨年11月、日本代表は東欧のジョージア代表にスクラムを潰された。そのときに個々の体の幹を強くしたいと感じた長谷川が編み出した、オリジナルのトレーニング法だ。

 今年6月、日本代表はルーマニア代表、アイルランド代表とテストマッチ(3試合)を行なった。セカンドローやバックロー(フランカー、ナンバーエイト)には、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)体制となって初招集となるリーチ マイケルら新たな選手が並んだ。反復練習が必要なスクラムにあって、新たな選手が加わることには不安も伴う。それでも、日本代表で主将経験もあるリーチは前向きだった。

「(長谷川)慎さんは、駆け引きをするときの意思の統一についての説明がうまい。スクラムへの熱を持っている人」

 6月10日、熊本でのルーマニア戦。昨年、スクラムを潰されたジョージア代表と同じ東欧のチームだったが、力負けすることはなかった。オリジナルのトレーニング法の成果が出たのだろうか。

 後半27分に失点を招いたコラプシング(故意にスクラムを崩すこと)など、いくつかのペナルティーは犯したが、進化したがゆえに直面した問題だった。サンウルブズから代表入りした右プロップの浅原拓真は、悔しそうにこう語った。

「僕らがいいヒットをした瞬間にうまく引かれてしまって......。それで組み直しになったり、コラプシングを取られたり......。今日のレフリーは客観的に見て、向こう(ルーマニア代表)の方が強いと感じたのかもしれないですね」

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