団結力で戦う「日本流スクラム」は2019年W杯で世界に通用するか

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • photo by FAR EAST PRESS/AFLO

 2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会に向け、2016年の秋から日本代表のスクラムコーチに任命されたのが長谷川慎である。

 スクラムは攻防の起点を意味するセットプレーの一種で、体をぶつけ合うフォワードの選手が8対8で組み、押し合う。そこへ攻撃側のスクラムハーフがボールを転がし、互いにプレッシャーをかけ合いながら確保し、後ろへつなぐ。

6月10日のルーマニア戦では何度かスクラムで押し込む場面が見られた6月10日のルーマニア戦では何度かスクラムで押し込む場面が見られた ラグビーというスポーツではボールをに投げることができず、ボールより前でプレーすることも許されない。そのためスクラムを押せば押すほど、後ろの選手は前のめりとなって戦えるため、攻撃に勢いがつき、得点のチャンスも生まれやすくなる。

 逆に数センチでも押されれば、後ろの選手は圧力を受けたままパスをもらうため、ゲインラインを突破するのも難しくなる。

 そんな日本代表の命綱的な領域を託されたのが、45歳の長谷川だった。サントリーでの現役時代に"スクラム番長"の異名を取り、日本代表の左プロップとしても活躍した。現役引退後はコーチに転じ、2011年から6シーズンはヤマハを強化。2014年度の日本選手権優勝を陰から支えた。

 2017年2月には、国際リーグであるスーパーラグビーに日本から参戦しているサンウルブズのコーチにも就任。ヤマハ時代に築き上げた"独自のスクラムシステム"を代表予備軍に落とし込んだ。

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