代表デビュー戦で主将のリーダー力。流大はラグビーW杯に生き残れるか (3ページ目)

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • 井田新輔●写真 photo by Ida Shinsuke

 それでも苦しかったのが、4月22日のARC初戦である。敵地で韓国代表に47-29で白星を挙げるも、ひたむきさや激しさが課題となった。流自身、しばし相手の闘志あるプレーに気圧(けお)された。

「本当にワクワクしていて、僕のなかでは準備もよかったと思います。ただ、実際に始まってみれば......緊張はなかったんですけど、うまくいかないなという感じでした」

 対戦カードに関係なく、テストマッチは大一番だ。世界ランクに直結するだけに、重圧は避けられない。本来ならば、それを踏まえた上での意識づけはリーダーがやるべきだったが、流自身、初めてのテストマッチだった。さらに、この日の登録メンバー23人中11人がテストマッチデビューで、立川も山田も欠場していた。流は悔しそうに、代表デビュー戦を振り返った。

「選手同士でテストマッチの重み、国を代表することへの責任に関する声が出ていなくて......。いま思えば、僕がしっかり話しておけばよかったかな、と。実際に日本代表を経験していなかったので、うまく伝えられなかった」

 しかし翌週には、気持ちを切り替えていた。「僕自身が態度で示したい」と、副キャプテンとなった石原慎太郎とともに闘志を前面に出し、ジョセフHCが課したタックルの練習に取り組んだ。

 4月29日、東京・秩父宮ラグビー場で行なわれた韓国代表との再戦。前半16分にペナルティキックから流が速攻を仕掛ける。敵陣ゴール前でボールを左右に振り、アマナキ・ロトアヘアのトライを演出した。ジョセフHCは、流のプレーに目を細めた。

「運動量、球のさばき、スピード......今回の流は、非常に安定したプレーを見せてくれました」

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