フランスの仲間やファンに愛された五郎丸。この挑戦が役立つ時がくる (2ページ目)

  • 小川由紀子●文 text by Ogawa Yukiko
  • photo by Aflo



 一説によれば、スタッド・フランセに11-17で敗れた3月26日の試合の翌日、フッカーのギエム・ギラドらフランス人を中心とした主力選手7人とマーク・ダルマゾコーチがブジェラル会長と密談を行なった。ここでの議題はおそらく、フォードHCの処遇問題だ。

 ディエゴ・ドミンゲス、フォードと2人のヘッドコーチが去ったあと、現在は1月からアシスタントコーチに呼ばれていたイギリス人のリチャード・コッカリルが指揮を執り、マット・ギタウが選手兼コーチとしてバックスを統括している。プレーオフ進出に向けて大詰めのこの時期に、五郎丸がウェールズ代表リー・ハーフペニーを差し置いてチャンスを得ることは「難しい」とコッカリルは話す。

「彼はグッドプレーヤーだ。しかし、このようなハイレベルのリーグでは、時間は与えられない。すぐに結果を出す必要がある。まったく違うカルチャーから来て、言語もまったく違う中での挑戦は厳しいことは理解できるが......」

 ハーフペニーやドリュー・ミッチェルらFB陣が揃って欠場、という事態にならない限り、ここからシーズン終了までの間に五郎丸が出場チャンスを得るのは難しそうだが、ほぼ全員が各国代表クラスのこのハイレベルなチームで過ごした今シーズンは、彼にとって大きな収穫であったことは間違いない。

 現地での五郎丸の評価だが、短絡的な判断を嫌う現地記者たちは出場時間の限られていた五郎丸を、彼のパフォーマンスについて判断することはしていない。「彼の実力を語れるほどプレーを見ていない」というのが彼らの言だ。

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